会社員の頃、千葉の行徳に住んでいたことがある。今から20年も前のことだ。
お昼に自転車で近くの喫茶店によくいった。
L字型のカウンターでコーヒーをサイフォンで煎れてくれるオーセンティックな喫茶店だ。
店内はスタンダードなジャズが程よい音量で流れていた。
喫茶店には今の僕と同じくらいの年齢のおじさんが2人いた。
おじさんAはコーヒーを担当し、おじさんBは料理を担当していた。
おじさんAはものすごく太っていて、おじさんBはガリガリだった。
2人は全然似ていないけれど、兄弟ではないかと僕の周りの人達は言っていた。
ドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」、映画「間宮兄弟」、マリオブラザーズ、小説「ダンス、ダンス、ダンス」刑事コンビ 文学と漁師 物語はバディ(相棒)が必要だ。
僕が喫茶店で滞在している時間に2人は業務以外の会話を全くしなかった。
僕はこの喫茶店のたまごサンドが好きだった。
卵を茹で、ゆで卵機でスライスしボールに入れつぶし自家製マヨネーズと絡める。
ねじって封をした一斤の食パンをクルクル回しビニールから取り出し包丁で「すーっと」食パンの耳を切り取る。
食パンに薄く辛子を塗る。一連の動作は無駄がない。
僕は読みかけの文庫本を読むふりをしながら二人組のおじさん達の仕事を盗み見する。
先にカウンターに置かれたコーヒーの横にサンドイッチは並べられる。
僕はサンドイッチを一つ摘む。間違いなくとても美味いサンドイッチだ。
「味はどことなく詩的な趣があった。
材料が新鮮で、扱いかたが洗練されていて、音韻は正確だった」(引用 ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹著)
※去年のPOPEYE 「カレーと本」も良かったけれど、今月号 「サンドイッチと・・・・。」も素晴らしい。
公園近くの「ナカムラ サンドイッチ」に寄ってハムレタスを購入したよ。