CAPE COD CLOTHING STORE の店主です。
洋服屋を開業して30年。57歳になった今、自分が店に並べているもの、そして日々身に纏っているものについて、改めて言葉にしてみたいと思いました。
これは、ファッションというよりは、僕の「生活と仕事」の記録のようなものです。全5回に分けてお届けします。
第2回は、今のマーケットと「素材」について感じていることを綴ります。
少しの間、お付き合いいただければ幸いです。
昨今のインフレも相まって、あらゆる「モノ」の価格が上がっている。
恥ずかしながら、そのスピードに少しついていけない自分がいる。 今の服のマーケットは、手の届かないような「ハイファッション」と、割り切った「ファストファッション」の両極端に分かれているように見える。 その真ん中で、僕らがずっと大切にしてきたブランドが、どこか苦戦しているようにも感じる。
最近のトレンドは、形こそ昔ながらの定番をなぞるけれど、それをカシミアや高級なリネンといった高価な素材で仕上げる手法が目立つ。 けれど、個人的には「カシミア」より「ラムズウール」の方が性に合う。 高級なリネンよりは、ベタなオックスフォードやシャンブレーがいい。
「高級素材だから長く使える」というのは、どこか「まやかし」のような気がしてならない。 実際のところ、ベタな生地との耐久性の差なんて、さほど大差はないはずだ。
結局のところ、人は使い切る前にその「モノ」に飽きてしまう。 シルエットの賞味期限やトレンドの移ろいによって。
若いほどその変化に敏感で、歳を重ねるほどに鈍感になる。
でも、それはそれで幸せなことかもしれないな、とも思う。
僕の生活と、今のトレンドの服たちの間にある、どうしても埋められない溝。 仕入れに悩んだ時、僕はいつも、ある一冊の本を手に取る。
(第3回「『使われること』を待っている形」へ続く)
Today's Setup
Tool Bag: WORKERS (2017 Release / Final Version without rivets)
Tote Bag: THE STANDARD MANUAL (Original Logo Tote / Daily essentials for sourcing and errands)
Supplement|生活の道具について
Tool Bag (WORKERS) ワーカーズのツールバッグは2017年モデル。リベットのない最終バージョンです。 長く使う中でぐらつきの出るリベットをあえて排除したこの形こそが、道具としての完成形だと感じています。硬い6号帆布は、使い込むほどに馴染む。まさに「生活の痕跡」を刻める最高の一品です。
Tote Bag (THE STANDARD MANUAL) 福岡の雑貨屋さんのオリジナル。内ポケットすら排除した、潔いシンプルトートです。 程よい肉感で、洗ったタオルの運搬やスーパーでの買い出しに。こうした「なんてことない布帛のトート」は、探すと意外に良いものが見つからないものですが、これは本当によく出来ています。
SHOP INFORMATION
「生活の痕跡」を刻めるような、丈夫で誠実な道具としての服をセレクトしています。店の奥では、夕方から「Backyard Bar」を営んでいます。グラスを傾けながら、あるいは棚を眺めながら。静かな時間をお過ごしください。
■ Address: 鹿児島市加治屋町1−9 第二柿本寺ビル
■ Cape Cod Clothing Store [14:00 - 19:00] Instagram: @capecodstore
■ Backyard Bar [14:00 - 1:00] Instagram: @backyardbarkagoshima
■ Online Store: